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ベティーのブログ / 作曲、ボカロ、主に結月ゆかり

ベティーです。歌を作っています。Vocaloid、主に結月ゆかり。

ダラス・バイヤーズクラブ (DALLAS BUYERS CLUB) - おすすめ映画レビュー

映画

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おすすめ度(5点満点)

5点

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概要

 

1980年代、テキサスの保守的で自堕落なカウボーイが、HIV感染により余命30日を宣告される。実話。

 

制作年

2013年

 

製作国

アメリカ

 

監督

ジャン=マルク・ヴァレ

 

主演

マシュー・マコノヒー

 

感想


人が人生の中でもっとも影響を受ける出来事って、もしかすると自分の死を目の当たりにすることかもしれない。

主人公の男はHIVに感染してしまうわけですが、うっすら記憶にありますが80年代でHIV感染といえばたしか死の宣告を受けたも同然といった感覚で、とてつもなく恐ろしい病気が蔓延しているという雰囲気がありましたね。

この男は、ここで人生が終わってしまうという強烈な体験をすることで、これまでの平凡なカウボーイから全く新しい、ものすごいパワーをもった別人に生まれ変わることになるわけです。これがすごい。未承認薬を海外から買い付けて会員制クラブを作って儲けるというすごい仕組みを運用しはじめる。この変貌ぶりなんなのでしょうね。もともと持っていたものが死を前にして引き出されたのか、死の恐怖から逃れるために戦い続けることで結果的に別人格ができあがったのかな。

 

この映画では、医者とAZTという世界初のエイズ治療薬が結構な悪役として描かれていますが、しかし、これはどれだけ実態にそったものかなという疑問は残りますね。実際にAZTの開発者(日本人)をもっともノーベル賞にふさわしい研究者と称賛する言葉もありますし、かなり映画的なところもあるのかもしれませんし、しかしそういう側面もあったのかも事実なのだろうし、なんとも、といった感想です。


それにしても、非合法な手段で未承認薬を手にいれることができる、というのは当時相当にインパクトのあるニュースだったんだろうな。薬というのは本当に扱いが難しい。ろくなテストもせず簡単に通されて深刻な副作用がある薬が処方されてしまってもこまるし、かといって患者本人からしたら、自分が死んだあとに完成される治療薬なんてくその(失礼)役にも立たないわけですし。


しかし、治験段階のAZTしか選択肢がなく、深刻な副作用も懸念されるという状況かだった当時、別の薬を使用するという一つの方向を提示したという意味では、病院や製薬会社に任せていたらもっとはるかに時間のかかる道のりだったであろうことを、彼一人で提示したということはとても意義のある出来事だったのだろう。合法的ではたどり着けない偉業もあるのかなと思った。

 

LGBTの描き方もとてもいいですね。当初純粋な差別者として描かれる主人公が、同じHIV感染者のゲイ(トランスジェンダー?)と直接の関わりを持つことでこれまでの見方が自然とかわっていっているところなど、いわば病気になることで新しい価値観を見いだすことができたのかな。直接関わるってだいじですよね。他の部分もそうだが、主人公の心の描写がとても自然で好感がもてます。


生きているとろくでもない困難に遭遇することが多々あるけれど、彼のようにあがき続けて最後まで戦い続けられる人間でありたいと思うし、ラストシーンの映像の清々しさには心うたれます。